あらすじ
星野一彦の最後の願いは何者かに<あのバス>で連れていかれる前に、五人の恋人たちに別れを告げること。
そんな彼の見張り約は「常識」「愛想」「悩み」「色気」「上品」ー これらの単語を黒く塗りつぶした辞書を持つ粗暴な大女、繭美。
なんとも不思議な数週間を描く、おかしみに彩られた「グッド・バイ」ストーリー。
【引用元】バイバイ、ブラックバード 裏表紙
感想
主人公である星野一彦は5股をかけてる女たらし。
でもそれは一彦が純粋なだけで、全て遊びではなく一人一人きちんと愛していた。
その一彦を監視している大女の繭美は非常識ですけど、自分の考えをきちんともち芯が強く、自分の辞書を持ち歩き、自分の考えと合わない言葉は黒く塗りつぶし、自分の辞書には書いてないといいはる、すごい人物です。
「俺の辞書には◯◯◯はない」とか言う人は繭美と同じように自分の辞書を持ったらいいのにと思いましたね。
そこまで徹底してたらこっちも「あぁ本当ですね」って納得しますから。
口だけじゃないんだなと。まぁ一彦も悪気がなかったとはいえ、5股もするなんて非常識ですけど。
物語は一彦と5股をかけれたそれぞれの女性との出会いの回想から始まり、「あれも全部ウソだったのね。」と別れのシーンに切り替わるというのを5人分繰り返して進んでいきます。
別れの理由は一彦が<あおのバス>で連れて行かれるからですが、<あのバス>のことは秘密のようで、一彦の監視役である繭美と結婚することであるという理由で別れを切り出します。
別れを告げたあとも一人一人の女性に対してのストーリーがあり、それを終えたら次の女性にと話しが進んでいきますが、<あのバス>がなんなのか、どこに連れていかれるかってのは一切あかされません。
ただただ恐ろしいところとか、生きて帰ってこれないとかフワッとした表現しか出てきません。
そして、<あのバス>の正体が分からないまま<あのバス>に連れていかれる日を迎えてしまい、バスに乗り込みます。
バスに乗り込む前に繭美に自分を助けだしてくれとお願いして。もちろんそんなお願いを聞くわけがない繭美でしたが、なぜか気づいたら助けに走りだしてました。
ってとこで、最後まで<あのバス>の行く末、正体はあかされないまま話しは終わりです。
繭美は「助けてほしい」という一彦の願いを聞くような人ではありませんが、なぜか助けようと思ってしまう。
そういうところが、一彦の魅力なんでしょうね。純正で真っ直ぐで目の前に起こっていることをほっとけないというところ。
<あのバス>の正体もですが、一彦がなぜ<あのバス>で連れて行かれることになったのかもはっきりとは書かれてません。
借金はしてたみたいですけど、それが本当の要因なのかも分かりません。
一彦は目の前で起きることをほっとけないんで、それで面倒なことに巻き込まれたんでしょうか・・・
<あのバス>の正体と一彦が<あのバス>で連れて行かれることになった理由。
この2つをひたすら想像しながら読み進めていて、最後まで明かされないまま終わる。
モヤモヤ感は残りましたが、その分想像は膨らんだとは思います。
でも、個人的には「どうなったかは想像してみてください」って終わり方より、はっきりとこうだと明かして終わってほしいですけどね。